船橋食材への恩返しが原点「日本一のクラムチャウダー」戦略のその先に【株式会社963(クロサン)| 千葉県船橋市】

船橋食材への恩返しが原点「日本一のクラムチャウダー」戦略のその先に【株式会社963(クロサン)| 千葉県船橋市】

千葉県船橋産ホンビノス貝を100%使ったクラムチャウダーで第1回・第2回 日本クラムチャウダー選手権優勝(2019年・2020年2連覇)。さらに、クラムチャウダーの本場アメリカで開かれた「Clam chowder cook off 2022」Cutting Edge部門でも優勝を果たした「日本一のクラムチャウダー」。


「まいぷれのご当地ギフト」で選べる「日本一のクラムチャウダー(4袋入り)」は、スイーツなどの王道グルメがひしめく商品のなかでも人気ナンバー3!(2024年1月現在)。

まいぷれのご当地ギフトとは…
ここにしかないこだわりの品を全国に届けたい」そんな想いから生まれたカタログギフト。他の地域では知られていないような魅力あふれる品を厳選しました。地域情報サイトまいぷれ編集部が、余すことなく地域の魅力を詰め込んだ商品カードも特長です。

 

企画・開発を手掛けたのは株式会社963(クロサン)代表取締役・黒川裕士(くろかわゆうじ)さん。千葉県船橋市のラーメン店「ラーメン963」をはじめ複数の飲食店、ケータリング事業やイベント事業、コンサルティング事業を展開。地産地消・食品ロス削減・障がい者就労支援などにも積極的に取り組みます。

「CHIBAビジコン2022」では、地域貢献度の高いOEMコンサルティング事業が認められ2部門をW受賞…と、なんだか、1日24時間では足りなさそうな多彩ぶりです。

『地域の特産品であるホンビノス貝をクラムチャウダーを通してブランディングする』という使命を持ち、さまざまな事業に取り組む黒川さんにお話を伺いました。

 

日本一2連覇の味は海辺の小さな工房から

 取材に伺ったのは千葉県船橋市日の出にある、クラムチャウダーの製造拠点「963ファクトリー」。海辺の飲食店を居抜きで活用した小さな工房です。こちらには店舗はありませんが、地元の人がいつでも963の味を楽しめるように工房前に自動販売機を設置。ECサイトの展開もあり、遠方でもいつでも世界の味が手に入ります。

障がい者就労支援のための雇用も創生

963ファクトリーには、船橋産のホンビノス貝を盛り上げる拠点としての役割はもちろんのこと、規格外の船橋産の野菜を原材料に採用し食品ロスを減らす取り組みや、障がい者就労支援スタッフの継続雇用など、クラムチャウダーをただ作るだけではない、街や人をポジティブに巻き込むさまざまな工夫が詰まっています。

取材日はちょうど、就労支援スタッフの作業日。定刻になるとスタッフの皆さんが次々と出勤してきました。「船橋市の人口の約25人に1人が障がい者の方ともいわれるなかで、彼らが活躍できる仕組みを作るのは社会の使命」と話す黒川さん。皆さんは手慣れた様子で、袋詰めやラベリングをこなしていきます。黒川さんの想いを体現するような工房の日常が印象的です。

 

将来の夢はラーメン屋さん

クラムチャウダー日本一として多くのメディアにも登場する黒川さんは、東京都葛飾区出身。小中学校の文集に必ず「ラーメン屋さんになりたい」と書いていたほどのラーメン好きで、船橋市に来たのもラーメンがきっかけでした。

20代の頃、家業である綿製品のデザイン製造販売会社の跡継ぎとして、若くして社長業に就いたものの、30歳の節目を前に一念発起。「食の修業に行きたい」と、幼い頃の夢を叶えるべく、飲食の世界へ本格的に飛び込みます。



大好きなラーメンをきっかけに船橋へ

都内のラーメン店で修業を積み、2003年、シャポー船橋の船橋ラーメン横丁(2017年2月閉店)に、晴れて店長としてやってきた黒川さん。

はじめは右も左もわからない新参者。好きな仕事のためとはいえ、初めての土地に慣れるまでは苦労があったといいます。それでもしっかりと地元に根を張り、2009年には念願の自分の店「ラーメン963」(千葉県船橋市本町2-27-20)をオープン。
そんなある日、同じ飲食業界の先輩からホンビノス貝の存在を聞き、貝でラーメンの出汁を取ることを思いつきます。

船橋産ホンビノス貝100%! 地産地消ラーメンの誕生

先輩は地元・中(船橋市立湊中学校)出身。土地柄、出身者には漁師や漁業従事者が多く、当時まだ知名度のなかったホンビノス貝を何かに使えないかと相談があったのだそう。黒川さんはホンビノス貝の出汁の旨味に着目。試作を重ねた末、船橋産ホンビノス貝100%の地産地消ラーメンが誕生しました。

「まだ誰も目を付けていないような食材で、しかも美味しくて安いものがあると知れば、料理人なら誰もが使ってみたいと思うはず。僕にとってはそれが船橋港で獲れるホンビノス貝でした」

地元で商売を続けるうちに、地元漁師や農家さんたちとのつながりも徐々に深まっていきます。

「船橋の人は地元愛が強いぶん身内意識があって、よそから来ると最初こそ苦労はしますけど、認めてもらえるとすごくあったかいんです。食材に船橋のものを使うと喜ばれるし、応援もしてくれる。
ホンビノス貝を使うきっかけは、料理人としての好奇心ももちろんありましたが、当時、自分のなかに『船橋の仲間入りをしたい』『船橋の人に喜んでもらいたい』という気持ちがあったのかもしれません」

優勝者の使命を自ら請け負う

「ホンビノス貝を守りたい」クラムチャウダー開発の背景

約20年前に東京湾で発見されたといわれる北米原産のホンビノス貝。当初はいわゆる外来種というネガティブなイメージが先行し、知名度もなく安価で取引されていました。しかし、漁獲量が減少するアサリ漁に代わり、江戸前の新名物として、ホンビノス貝で採貝漁業を盛り上げようという動きが地域で徐々に高まります。

2017年には千葉ブランド水産物に認定されるなど、地域の努力とブランディングにより認知されてきたホンビノス貝ですが、その2017年をピークに漁獲量が減少に転じます。2023年現在では、ピーク時の20分の1ほどに激減。

「主な要因は乱獲や異常気象、それと漁獲高が少なくなることによる漁師さんの減少などが考えれます。昔は二束三文で取引されていて量を獲らないと儲からなかったから、たくさん獲ってしまったんですね。あとは特に、青潮による稚貝のダメージ。青潮になると海中の酸素が減り、体の弱い貝の赤ちゃんが死んでしまうんです。ホンビノス貝は、関係者の皆さんの努力で昔に比べたら知名度は上がりましたが、数が減ってしまったホンビノス貝を船橋の特産物として守るためには、この貝の価値をもっと多くの人に知っていただきたいと思っています」

世界一へのチャレンジ その先に見据えるもの

自身が経営する飲食店でホンビノスを使ったラーメンや酒蒸し、佃煮をメニューで提供するなど、ホンビノス貝の普及に尽力していたころ、船橋漁港でホンビノス貝を盛り上げるイベント「第1回クラムチャウダー選手権」開催の知らせが舞い込みます。

日本ではアサリを使うイメージの強いクラムチャウダーですが、クラムチャウダー発祥の地とされるアメリカ北東部ニューイングランドではホンビノス貝を使うのが主流。ホンビノス貝を使ったクラムチャウダーは、いわば本場の味なのです。

 親交のある漁師さんから大会の話を聞いた黒川さんは、すぐに出場を決めたといいます。
「クラムチャウダーを作るのはもちろん初めてでしたが、ラーメン屋さんはスープのプロですから(笑)」
黒川さんは「ラーメン963」として出場し、豚骨ラーメンの技法「呼び戻しスープ」で作る濃厚なスープを軸に「ダシのプロが作った本気のクラムチャウダー」と銘打って販売。来場者5,000人余りの投票によって選ばれ、見事優勝を果たします。翌年は前回優勝者というプレッシャーのなか2連覇。優勝により出場権を獲得したアメリカ・シアトル大会で、2部門あるうちの革新的部門で1位(優勝)を獲得しました。

「実際に優勝できるかは、本当にやってみないとわからないんですが、勝つために出場するのは確かです」と驚くようなことをおっしゃる黒川さん。

「漁師さんたちがホンビノス漁を続けて行くためには、獲りすぎず、かつ獲れた量でちゃんと利益が出るようにビジネスを軌道に乗せる必要があります。そのために必要なことのひとつがタイトルを獲ることだと思っていました。『日本一』というキーワードで皆さんにホンビノス貝のことを知ってもらって、そして僕らが本当に美味しいと思ってもらえるものを作って『価値がある』『少し高いお金を払ってでも買いたい』と思っていただけるように」

「僕は、大会で勝ちに行くときと、商売で勝ちに行く(=ビジネスを軌道に乗せる)ときとで、力の入れどころのバランスを変えるんです。商売ベースに乗せるには、コスト面や効率化、持続性を必ず考える必要があります。もちろん味は下げちゃいけない
美味しさという価値をお客様に提供しながら、背後でギアを切り替えられるのが、僕ら(963)もしくは僕自身の良いところかもしれません」

タイトルを獲る。それ自体にももちろん価値のあることですが、それを手段としてとらえ、その先にいる生産者や就労スタッフなど、地域の大切な人たちのことを想うからこそ、963のスープは強いのかもしれません。

 

「まいぷれのご当地ギフト」に期待すること

ビジネス力に長けた黒川さんに「まいぷれのご当地ギフト」でできることについても伺ってみました。
千葉には、地元の漁師さんや生産者さんが関わる魅力的な産品がたくさんありますので、それをぜひこのカタログギフトで知ってほしいなと思います。カタログギフトの根幹をなす事業者の立場としては、良い商品を載せ続けることが使命だと思っています。僕らが美味しいものを提供し続けるので、ぜひまいぷれさんには、千葉の手土産といえばまいぷれのご当地ギフトと思い浮かぶような存在に育てていってほしいなと思います」


人が好き、船橋が好き、ラーメンが好き―。かつてラーメン屋さんになりたかった少年は夢を叶え、常に「美味しい」のその先を見据えています。「日本一のクラムチャウダー」は、船橋の街と人、そして漁師さんたちを幸せにするためのスープなのです。

 

船橋産ホンビノス貝100%使用! 963「日本一のクラムチャウダー」

新鮮なホンビノス貝を船橋港から仕入れて一晩寝かせ、うまみ成分『コハク酸』を倍増。一つ ひとつ手作業でむき、歯ごたえや食べやすさを考えて一口大に。
船橋産ホンビノス貝100%の出汁は、豚骨ラーメンの手法「呼び戻しスープ」で濃厚かつコク深い味わいに。国産牛乳や発酵バター、船橋にんじんなど素材を厳選し、海のそばの小さな厨房で手作りする世界の味。2019年ふなばしセレクション認定。クラムチャウダー好きさんも思わず唸る Made in Funabashi な逸品です!

 

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